一橋大学受験生のための不合格体験記

一橋大学受験生のために自身の不合格体験記を記していきます

個人的一橋世界史対策法Part1

今回は一橋大学対策世界史編Part1です。

いくつかにわけて書いていきます。

 

個人的に、一橋大学の受験科目の中で、最も自力で対策するのが難しい科目は社会だと思います。その中でも世界史の難しさはピカイチです。

 

そこで、現役時、浪人時で一橋大学の世界史を40年分解いた筆者が自分なりの対策方法を語っていきます。

 

今回は

の順で書いていきます。

 

出題範囲、出題傾向

例年、第一問は、中世ヨーロッパ(ゲルマン人の大移動あたり~価格革命)が出題されます。

 

第二問は、近現代のヨーロッパ、アメリカ、アジア史、たまに文化史などが出題されます

 

第三問は、決まってアジア史です

 

また、40年分分析して分かったのですが、叙任権闘争」や「中世の都市」など、同じテーマが形を変えて出題されることがよくあります。

 

さらに、問題文とともに資料がついていることがあります。資料は問題を解くうえでとても重要になってきます。

 

対策方法(知識)

まず、一橋大学の世界史対策ですが、とにかく教科書レベルの知識さえあれば、合格レベルに達することは十分可能です。教科書レベルの知識を習得すること、これが最優先です。

 

しかし、過去数回出題されている超頻出分野に関しては、教科書を超えた学習(資料集などを使って)をすると周りの受験生より優位に立てます。

 

おすすめの参考書についてはまた別の記事で書こうと思います。

 

知識に関してはこれだけです。大事なのは解き方です。

 

対策方法(解き方)

一橋大学の世界史を攻略するにあたって大事なのは、問題の解き方です。以下の四つのことを必ずに意識するようにしてください。

 

・「出題者が何を求めているのか」を常に念頭に置く

・いきなり書き始めず、表などを書いて整理すること

・採点者が感動するような文章構成にすること

・資料がある場合は問題用紙に穴が空くくらい熟読すること

 

まずは、「出題者が何を求めているのか」を常に念頭に置く についてです

当たり前ですが、一橋大学の世界史は入試である以上、採点基準を設けています。

 

 

例えば、2022年第一問

               (資料省略)

問い この勅法が発せられた文化的・政治的状況を説明しなさい。その際、下記の語句を必ず使用し.その語句に下線を引きなさい。(400字以内)

     ボローニャ大学 自治都市

という問題ですが、採点基準はどこにあるかわかりますか?

正解は「勅法が発せられた文化的状況」、「勅法が発せられた政治的状況」の二つです。これは簡単ですよね。しかし時には長い問題文の時もあります。

 

 

例えば、2022年第二問はどうでしょう

 

               (資料省略)

問い
 下線部からは、この演説が、「米国雇用計画」に比肩しうるような20世紀アメリカの経済政策念頭に置いていることがうかがえる。この20世紀アメリカの経済政策は、それ以降のアメリカの経済政策の基調を作った。しかし、こうした方向性の政策は、その後、強く批判されるようになる。この20世紀の経済政策の内容とそれが実施されだ背景について論じたうえで、それ以降の経済政策への影響を説明しなさい。また、それが、なぜ、どのような理由から批判されるようになったのかについても説明しなさい。(400字以内)

 

正解は、「この20世紀の経済政策の内容」、「それが実施された背景」、「それ以降の経済政策への影響」、「それが、なぜ、どのような理由から批判されるようになったのかについて」の四つですね。

 

簡単そうに見えて意外とできていない受験生は多いです。理論上採点基準をすべて満たしていれば満点になります。まあそれが難しいんですけどね、、、

 

これは余談なんですが、一橋大学側が設定する採点基準と、予備校が作るオープン模試などの採点基準は全く異なるので、筆者はなるべく過去問だけを解いてほしいと思っています。予備校の模試ももちろん受けるメリットはあるのですが、本来満たすべき採点基準を満たしていても点数になっていない場合が多々あります。(あれって大学生のアルバイトの方が採点してるので仕方がないんですけどね)

 

オープン模試はあくまで、本番の雰囲気に慣れることや実力を試す目的で受けてみてください。

 

話は戻りますが、とにかく採点基準を意識しろ!ってことです。

 

次に「いきなり書き始めず、表などを書いて整理すること」です。これは次の「採点者が感動するような文章構成にすること」と共通している部分があるのですが、

問題を読んだらすぐ下書きとか用紙に文章を書き始める人って意外にいるんですよね。

これダメ、ゼッタイです。

 

これは、一橋世界史に限らず文章を書く時全般に言えることなのですが、まずは全体の枠組みを設定したほうがいいです。そのほうがきれいな構成の文章が書けます。また、そうすることで、400字をうまく分割して書けます。

 

例えば先ほど挙げた2022年の問題ですが、

「勅法が発せられた文化的状況」、「勅法が発せられた政治的状況」が採点基準でしたよね。だから、まず白紙でも何でもいいので表を作るんです。

 

横に「勅法が発せられた文化的状況」、「勅法が発せられた政治的状況」をとった4マスの簡単な表でいいです。あとは書くべきことを表に埋めていきます。表にすると各項目にどれだけ字数を割けばいいかわかりますよね。この場合200字、200字です。

 

この問題の場合はただの羅列に終わってしまうのですが、2005年の第一問

中世後期のヨーロッパ大陸諸国において、君主によって設けられ、招集される議会が生まれた。フランスの三部会、ドイツの等族議会が良く知られているが、その他にスペインのコルテス、ポーランドのセイムなどがあり、諸身分や団体の代表が出席した。これらは「身分制議会」と呼ばれるが、その歴史的な経緯と主な機能、そしてその政治的役割について、特に近代の議会との違いに留意しながら具体的に述べなさい。(400字以内)

 

これは「歴史的な経緯」「主な機能」「その政治的な役割」について近代議会との違いに留意しながら述べればいいんですよね。ここで表の出番です。

表の行(横)に「中世議会」、「近代議会」と書き、表の列(縦)に「歴史的な経緯」「主な機能」「その政治的な役割」と書きます。あとはそれぞれのマスを埋めていけばいいのです。

 

このような比較の問題だと、表を書くことでそれぞれの項目がしっかり比較されているか視覚的にすぐわかりますよね。

 

ちなみに、「比較せよ」って問題文が要求しているのに、比較せずに解答したらまず不合格になると思ったほうがいいですよ。脅しになっちゃいますが、それくらい大事です。

 

次に「採点者が感動するような文章構成にすること」です。これは必須ではないですが大事ではあります。大学の採点者はおじさんで、何千枚もの採点をしなければならないわけです。あなたが採点者だったら、

 

「書くべき要素は入っているのに加えて、しっかり構成がしっかりしていてどこがどこが比較されているのか、どこの部分に背景が書かれているのかなどが見ていてわかりやすい答案」

書くべき要素は入っているが、どことどこが比較されているのかがわかりづらく、とりあえず要素だけが並べられた答案」

 

のどっちが採点していて気持ちがいいですか?

 

もちろん前者ですよね。まあこれは直接合否にかかわる可能性はとても低いですが、一応気を付けてください。

 

ちなみに筆者は例えば文化的状況について書きたいとき、「文化的状況について。」という一文から始めていました。こうすると、これから何を書くのか採点者から見てもわかりやすくなります。

 

最後に、「資料がある場合は問題用紙に穴が空くくらい熟読すること」です。

 

一橋大学の世界史には「難問」とか「奇問」って呼ばれる問題があるんです。むろん、本当に難しい知識が要求されるだけの問題もあるんですが、資料をちゃんと読んでみると意外と解けたり、ヒントが隠れてたりするんですよ。

 

例えば、2018年第二問

 

 近代ドイツの史学史に関する次の文章を読み、問いに答えなさい。

 総じて言えば、一概に古代経済史研究とは称しても、歴史学派〔経済学〕におけるものと〔近代歴史学の〕古典古代学におけるものとは、研究への志向の契機においても、事象の対象化の方法においても、ひとしからざるものが存するのである。歴史学派経済学はその根本の性格においては依然として経済学なのであって──即ち歴史学ではないのであって──古代にも生活のー特殊価値たる経済を発見せんとすることが最も主要な研究契機を形作ってゐるのに、古典古代学にあっては、経済をもそのうちに含むところの古代世界への親炙が研究契機になってゐる。歴史学派においては全ヨーロッパ的経済発展上の然るべき位置に古代経済を排列することが問題になってゐるのに、古典古代学においては、古代と現代とを本来等質の両世界として、又等質たるべき両世界として表象することが主要問題になってゐる。古典古代学にも発展の理念は存するけれども、それは等質の両世界における、同一律動のそして自界完了的なる発展の理念であって、全ヨーロッパ的、又は全人類的発展の観念ではない。古代の事象は、それが経済世界を構成する方向において対象化せられるのが歴史学派経済学における方法であるのに、古典古代学においては、古代の事象はそれが歴史的現実的なる古代を形成する方向において対象化せられる。もしかくの如き観察が──多数の異例は別として──一般的に下されうるものとすれば、古代経済に関する論争が単に史料の技術的操作の辺にのみ存するものではない所以と、論争のよって来るところの精神史的・文化史的深所とをも、同時に理解しうるわけであらう
 (『上原専祿著作集3 ドイツ近代歴史学研究新版』より引用。但し、一部改変)

問い 文章中の下線部について、歴史学派経済学と近代歴史学の相違とはいかなるものであり、また、それはどのようにして生じたのか、両者の成立した歴史的コンテクストを対比させつつ考察しなさい。(400字以内)

 

めちゃくちゃ長いし、多くの受験生は「問い」の部分だけを見てあきらめたと思います。この問題は「難問」と呼ばれているのですが、資料のある言葉を整理してつなげていくだけでも答案になりうるんですよね。もちろんそれだけは採点基準をすべて満たすことはできないんですが、この問題をあきらめたほかの受験生よりは圧倒的にアドバンテージを獲得することができます。

 

まあこのブログは問題解説の場じゃないんで具体的な説明は割愛します。

 

長くなりましたが、ここまで読んでいただきありがとうございます。感謝します。

 

まとめとして

・「出題者が何を求めているのか」を常に念頭に置く

・いきなり書き始めず、表などを書いて整理すること

・採点者が感動するような文章構成にすること

・資料がある場合は問題用紙に穴が空くくらい熟読すること

問題を解くときはこの四つのことを意識してみてください

 

おすすめの参考書や、過去問の使い方、入手の仕方などは別の記事で書きたいと思います。

ご要望等ございましたらお気軽にコメントください。

 

ありがとうございました。がんばってください。